津軽篇・安土桃山時代/第11話

大浦為信、和徳城攻め 青森県弘前市和徳町。和徳北口バス停で降り、200mほど戻ると、鳥居が見えてきます。和徳稲荷神社です。鳥居を抜け、まっすぐに進むと拝殿が見えてきます。和徳神社は、南北朝時代に安藤氏の庶流である安倍氏が築いた和徳城の中心部であったといわれています。
 拝殿の横には、けの汁発祥の地の立札があります。けの汁とは、青森県津軽地方の有名な郷土料理で、和徳町の地域おこしに一役買っているようです。
 和徳城は壮絶な戦場でもありました。津軽制覇に燃える大浦為信に攻めたてられ、城の兵士や援軍がすべて皆殺しにされた場所でした。さらに、城を守っていた小山内讃岐守の首も神社の下に埋められたと伝えられています。和徳神社のほど近くに、その小山内讃岐守の墓があります。小山内讃岐守は、豪勇の士として尊敬され、その墓には、武芸の上達を祈願する人が絶えなかったと伝えられています。そのような豪勇の士を城主にもつ和徳城でも、為信によって、わずか半日で攻め落とされてしまいます。
 為信の勢いはすさまじく、南部氏への侵攻を開始したその日のうちに、石川城と和徳城、2つの城を攻め落としました。こうして為信の快進撃は怒涛のごとく幕を開けたのです。
(アラン・スミシー)

〈参考文献〉新青森市史資料編2/古代・中世






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コラム けの汁

 青森県の津軽地方から秋田県にかけて作られているけの汁。家庭や地方によって、材料に多少の違いはあるようですが、根菜を中心とした野菜と大豆を煮込んだ精進料理です。材料は、ダイコン、ニンジン、ワラビ、ゴボウ、凍豆腐、油揚げ、こんにゃく、青大豆です。野菜を細かく刻み、煮て、味噌で味をととのえるだけの、簡単に作れるみそ汁です。
 東北地方では、1月16日の小正月を、女性の正月として祝い、けの汁を仏前に供えます。その際に、けの汁を大鍋に大量に作り、数日間かけて頂きます。これは、日頃炊事などの家事に勤しむ主婦を休ませる意味合いもあるそうです。
 豪雪で春の七草が摘むことができない東北地方の北部には、七草粥の風習が無いかわりに、小正月のけの汁に、七草粥の意味をこめているそうです。  この他の郷土料理として、たらのじゃっぱ汁があります。じゃっぱ汁も津軽の正月料理にはかかせないものです。魚のたらをじゃっぱ(あら)ごと使い、ダイコンやニンジンと一緒に煮た、栄養たっぷりの料理です。(サト)

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